こんにちは。兵庫県神戸市中央区の歯医者 シニア歯科オーラルケアクリニック新神戸 歯科医師 院長の小松原秀紀です。
2026年の現在、歯科医療の技術は目覚ましい進歩を遂げており、失われた歯の機能を取り戻すインプラント治療は、多くの方にとって非常に身近な選択肢となりました。当院が位置する神戸市中央区周辺でも、いつまでもご自身の歯のようにしっかりと噛んで食事を楽しみたいと願うシニア世代の患者様から、毎日のようにご相談をいただいております。しかし、年齢を重ねるにつれて、お口の中の問題だけでなく、糖尿病や高血圧といった全身疾患、いわゆる「持病」を抱える方の割合も必然的に高くなってまいります。
インプラント治療を検討されている患者様とお話ししていると、「私は糖尿病で薬を飲んでいるから、インプラントの手術はできないと言われた」「血圧が高いので、歯医者での外科手術中に倒れてしまわないか心配だ」といった、持病に起因する深い不安の声を非常に多く耳にします。しかし、歯科医師として明確にお伝えしたいのは、糖尿病や高血圧があるからといって、インプラント治療を完全に諦める必要は決してないということです。
📋 目次
1 結論:糖尿病や高血圧などの全身疾患があってもインプラント治療は可能
糖尿病や高血圧などの全身疾患をお持ちの方であっても、かかりつけの内科医による適切なコントロールが行われており、一定の基準値を満たしていれば、インプラント治療は安全に受けることが可能です。
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根を外科的に埋め込み、その上にセラミックなどの人工の歯を装着して噛む機能を回復させる治療法です。外科手術を伴うため、かつては糖尿病や高血圧などの持病がある方は「絶対的禁忌症」とされることもありました。
しかし、現代の歯科医療における明確な定義として、これらの全身疾患は「相対的禁忌症(管理されていれば治療可能)」に分類されています。病気そのものが理由ではなく、「病気がコントロールされていない状態で手術を行うことが危険」という考え方です。
🏥 治療成功の最大のカギ:医科歯科連携
歯科医師単独の判断で治療を進めるのではなく、患者様の全身状態を把握している内科の主治医と緊密な連携を取ることが不可欠です。内科医から「現在の状態であれば小手術に耐えられる」というお墨付きをいただければ、健康な方とほぼ変わらない成功率で安全にインプラント治療を完了させることができます。
2 歯科業界における代表的見解:糖尿病がインプラントに与える影響と安全な基準値
日本の歯科業界における代表的な見解として、糖尿病はインプラント治療の成功率に最も大きな影響を与える全身疾患の一つであると深く認識されています。
血糖コントロールの状態がインプラントの成功率を大きく左右します
⚠️ 影響①:免疫力の低下
高血糖の状態では白血球の働きが鈍くなり、手術後の傷口が化膿しやすくなります。インプラント周囲炎(骨が溶ける感染症)のリスクが飛躍的に高まります。
⚠️ 影響②:骨の結合不良
糖尿病で血流が悪くなると、骨の結合(オッセオインテグレーション)に必要な酸素・栄養素が不足し、インプラントが顎の骨としっかりくっつかなくなります。
📊 安全に手術を行うための重要な基準値:HbA1c
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を示す指標です。インプラント手術を安全に行うためには、この数値が「7.0%未満」にコントロールされていることが推奨されています。8.0%・9.0%を超えている場合は、まず内科での治療で数値を下げることを最優先とします。
3 初心者向け前提知識:高血圧の方がインプラント手術を受ける際のリスクと安全管理体制
高血圧をお持ちの方がインプラント治療を受ける際のリスクと、歯科医院側の安全管理体制について解説します。
手術中は生体情報モニターで血圧・心拍数・血中酸素濃度をリアルタイムに監視します
手術に対する緊張や痛みなどのストレスがかかると、血圧が急激に上昇します。血圧が異常に高くなると、手術中の出血が多くなり止血が困難になるばかりか、最悪の場合は脳出血や心筋梗塞といった命に関わる偶発症を引き起こす危険性があります。
🛡️ 当院の安全管理体制
① 生体情報モニターの装着:手術中、血圧・心拍数・血中酸素濃度・心電図をリアルタイムで監視。異常値が出た場合は即座に手術を中断します。
② 静脈内鎮静法(リラックス麻酔)の活用:点滴で鎮静剤を投与し、うとうとした状態で恐怖心・血圧上昇を防ぎながら手術を行います。
③ エピネフリンなしの麻酔薬を選択:血圧をさらに上昇させる成分を含まない麻酔薬を使用するなど、薬剤レベルでも配慮します。
4 具体的な治療の流れと期間:内科との連携を含む安全なインプラントのステップ
持病をお持ちの方が当院でインプラント治療を受けられる際の、安全に最大限配慮した具体的な流れです。
精密なCT撮影で顎の骨の状態を詳しく確認し、安全な治療計画を立案します
精密検査・問診
CTによるお口の撮影+お薬手帳・血液検査データを詳細に確認。
内科主治医への対診
歯科医師から内科医へ手紙を作成。手術の安全性・休薬の可否などを正式に照会します。
一次手術(埋入)
生体情報モニター装着・必要に応じて静脈内鎮静法を併用。糖尿病の方には術後の抗生物質を通常より長めに処方。
治癒期間
健康な方:2〜3ヶ月。糖尿病の方:3〜6ヶ月程度(骨代謝がゆっくりなため長めに設定)。
人工歯の装着・完了
骨との結合確認後、セラミックの歯を装着。全体の目安:約4〜8ヶ月(血糖値改善が必要な場合は+数ヶ月)。
5 身体的・経済的・精神的なメリットとデメリット:全身疾患を持つ方のための判断軸
全身疾患をお持ちの方がインプラント治療を選択するべきかどうか、3つの側面から整理します。
🏥 身体的な観点
✅ 噛む力が回復 → 食物繊維の多い食材を食べられるようになり、血糖値コントロールにも好影響
✅ 栄養状態の改善 → 全身の健康管理に直結
❌ 外科手術に伴う血圧上昇・術後感染リスクは健康な方より一段高い
💰 経済的な観点
✅ 長期的に自分の歯を守ることで将来の医療費抑制につながる
✅ 医療費控除の対象(確定申告で還付可能)
❌ 健康保険適用外の完全自費診療(1本あたり数十万円)
😊 精神的な観点
✅ 入れ歯の痛み・外れる日々のストレスから解放。食事の喜びを取り戻せる
❌ 手術中の不安・術後の丁寧な自己管理(3ヶ月に1回以上のメンテナンス)が一生涯必要
6 独自見解:神戸市中央区の専門医が教える、持病がある方のための「失敗しない医院選び」
数多くの持病をお持ちの患者様を治療してきた私の独自見解をお伝えします。糖尿病や高血圧をお持ちの方がインプラント治療で絶対に失敗しないための最大の判断軸は、「医科との連携を形式的ではなく、実質的に深く行っている医院を選ぶこと」です。
✅ 良い医院を見極める3つのチェックポイント
① お薬手帳を隅々まで確認し、各薬剤の歯科治療への影響を説明してくれるか
② どの数値を基準に手術の可否を判断するかを論理的に説明できるか
③ 生体情報モニター・AED・酸素ボンベ・救急蘇生キットが完備されているか
さらに重要なのが、高次医療機関との連携体制です。神戸市は大きな総合病院が数多く存在します。当院でも、近隣の大学病院・総合病院の口腔外科・内科と迅速に連携できるバックアップ体制を常に整えています。「当院だけで何でもできます」と過信している医院よりも、「リスクを正確に評価し、必要な場合は迷わず高次医療機関と連携する」という謙虚で安全第一の姿勢を持つ医院を選ぶことが最大の秘訣です。
7 患者様からよくある質問と回答(Q&A)
持病と上手く付き合いながら、大切な人と食事を楽しめる毎日を取り戻しましょう
8 まとめ:持病と上手く付き合いながら、神戸で健康的な食生活を取り戻すために
- 1糖尿病や高血圧があっても、内科医の管理下で数値が安定していればインプラント治療は十分に可能。
- 2糖尿病の方はHbA1cが7.0%未満であることが術後の感染予防・骨結合の重要な安全基準。
- 3高血圧の方は生体情報モニターによる監視と静脈内鎮静法の活用が血圧上昇リスクの予防に有効。
- 4インプラントで噛む力を取り戻すことは、食事療法のしやすさを通じて持病のコントロールにも好影響。
- 5医院選びの最大の判断軸は、お薬手帳をしっかり確認しかかりつけ内科医と綿密な連携を取ってくれる全身管理に長けた医院を選ぶこと。
「持病があるから」という理由だけで、ご家族と同じものを美味しく食べる喜びを諦めてしまうのはあまりにももったいないことです。現代の歯科医療は、医科との強固な連携によって、皆様の想像以上に安全に機能回復を図ることが可能になっています。
この記事の監修者
小松原 秀紀(こまつばら ひでき)
シニア歯科オーラルケアクリニック新神戸 院長/歯科医師
神戸市中央区でシニア世代の歯科治療を専門に担当。入れ歯・義歯治療、インプラント、訪問診療に豊富な経験を持ち、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた精密な治療を提供している。




