入れ歯とインプラント、どっちを選ぶべき?メリット・デメリット徹底比較|神戸市の歯科医が解説

こんにちは。兵庫県神戸市中央区の歯医者、シニア歯科オーラルケアクリニック新神戸 歯科医師 院長の小松原秀紀です。

歯を失ってしまった時、その機能を回復させるための選択肢として代表的なのが「入れ歯(義歯)」と「インプラント」です。 診察室でも、「先生、結局どっちがいいんですか?」「インプラントは怖いけど、入れ歯は老けて見えそうで嫌だ」と、この二つの選択で迷われている患者様が非常に多くいらっしゃいます。

インターネット上には様々な情報が溢れており、余計に混乱してしまうこともあるでしょう。しかし、結論から申し上げますと、どちらが絶対的に正解ということはありません。患者様のお口の状態、全身の健康状態、ご予算、そして「これからの人生で何を優先したいか(食事の美味しさか、手軽さか)」によって、ベストな選択は変わってくるからです。

今回は、後悔のない選択をしていただくために、入れ歯とインプラントそれぞれの仕組みの違いと、メリット・デメリットを公平な視点で徹底比較します。

目次

  1. 根本的な違いは「根っこ」があるかないか

  2. 入れ歯(義歯)のメリット・デメリット

  3. インプラントのメリット・デメリット

  4. 比較のポイント:噛む力・他の歯への影響・費用

  5. あなたに向いているのはどっち?選び方の指針

  6. まとめ

1. 根本的な違いは「根っこ」があるかないか

メリット・デメリットを比較する前に、まずは構造の決定的な違いを理解しましょう。

入れ歯は、歯ぐきの上に乗せて使う装置です。例えるなら「カツラ」のようなもので、取り外しが可能ですが、固定源は粘膜(歯ぐき)や残っている他の歯です。 一方、インプラントは、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む治療です。例えるなら「植毛」のようなもので、自分の骨にガッチリと植わっているため、自分の一部として機能します。

この「根っこがあるかないか」の違いが、噛む力や使用感に大きな差を生み出します。

2. 入れ歯(義歯)のメリット・デメリット

日本では古くから行われている最も一般的な治療法です。

メリット 外科手術が不要:これが最大の特徴です。型取りをするだけで作れるため、重度の糖尿病や心臓病などで手術が難しい方や、ご高齢の方でも安心して受けられます。 治療期間が短い:インプラントに比べて完成までの期間が短く、すぐに歯を入れることができます。 保険適用が可能:素材を選ばなければ健康保険が使えるため、費用を安く抑えることができます(自費の精密入れ歯もあります)。

デメリット 噛む力が弱い:天然の歯の噛む力を100%とすると、総入れ歯では20%〜30%程度にまで落ちてしまいます。硬いものや粘り気のあるものは食べにくくなります。 違和感がある:口の中を覆う面積が大きいため、異物感を感じやすく、発音がしにくかったり、食べ物の温度や味を感じにくくなったりすることがあります。 他の歯への負担:部分入れ歯の場合、バネ(クラスプ)をかける隣の健康な歯に負担がかかり、その歯の寿命を縮めてしまうリスクがあります。

3. インプラントのメリット・デメリット

失った歯を単独で復元できる、現代歯科医療における画期的な治療法です。

メリット 天然歯に近い噛み心地:骨に固定されているため、天然の歯とほぼ変わらない強さで噛むことができます。硬いお煎餅やお肉もストレスなく楽しめます。 周りの歯を守れる:自立しているため、ブリッジのように隣の歯を削ったり、入れ歯のようにバネをかけて負担をかけたりする必要がありません。残っている歯を守るという意味では最良の選択肢です。 骨が痩せるのを防ぐ:噛む刺激が顎の骨に伝わるため、骨の吸収(痩せ細ること)を食い止めることができます。見た目も自然で若々しさを保てます。

デメリット 外科手術が必要:麻酔をして顎の骨にドリルで穴を開ける手術が必要です。そのため、全身状態や骨の状態によっては適応できない場合があります。 費用が高額:原則として健康保険が適用されない自費診療となるため、経済的な負担が大きくなります。 治療期間が長い:骨とインプラントが結合するのを待つ必要があるため、治療終了までに数ヶ月から半年程度かかります。 メンテナンスが必須:天然歯と同様に歯周病(インプラント周囲炎)になるリスクがあるため、毎日のケアと定期検診が欠かせません。

4. 比較のポイント:噛む力・他の歯への影響・費用

ここまでを整理して比較してみましょう。

噛む力(食機能) インプラント > 入れ歯 食事の楽しみを最優先するなら、圧倒的にインプラントが有利です。

他の歯への優しさ(残存歯の保護) インプラント > 入れ歯 将来的にこれ以上歯を失いたくないと考えるなら、周りの歯に負担をかけないインプラントが優れています。

体への負担(手術の有無) 入れ歯 > インプラント 手術が怖い、持病があって手術ができないという場合は、入れ歯が第一選択となります。

費用(初期コスト) 入れ歯 > インプラント 保険適用の入れ歯であれば数千円〜数万円で作れますが、インプラントは1本数十万円かかります。

5. あなたに向いているのはどっち?選び方の指針

最終的にどちらを選ぶべきか、判断の目安をご紹介します。

入れ歯が向いている方 手術に対して強い恐怖心がある方 重篤な全身疾患があり、外科処置のリスクが高い方 治療費をできるだけ抑えたい方 歯ぐきの骨が極端に少なく、骨造成などの追加手術も望まない方

インプラントが向いている方 何でもバリバリ噛んで食事を楽しみたい方 残っている健康な歯を削ったり、負担をかけたりしたくない方 入れ歯の取り外しや違和感がどうしても嫌な方 見た目の自然さにこだわりたい方 長期的な視点で、お口全体の健康寿命を延ばしたい方

まとめ

入れ歯とインプラントの比較について解説しました。

  1. 入れ歯は手軽で手術不要だが、噛む力が弱く、他の歯に負担をかける。

  2. インプラントは手術が必要で高額だが、天然歯のように噛めて、他の歯を守れる。

  3. どちらが良いかは、「食事の質」「他の歯の保護」「体への負担」「予算」の何を優先するかによる。

シニア歯科オーラルケアクリニック新神戸では、いきなり治療を決めるのではなく、まずはCT検査などでお口の状態を詳しく調べ、それぞれの治療法を選んだ場合の未来予測(メリット・リスク)を丁寧にご説明します。

入れ歯かインプラントか、一人で悩まずにぜひご相談ください。あなたのライフスタイルに最適な答えを一緒に見つけましょう。