インプラントとオーバーデンチャー:失った歯の新しい選択肢

兵庫県神戸市中央区の歯医者 シニア歯科オーラルケアクリニック新神戸

歯科医師 院長の小松原秀紀です。

 

現代の歯科医療は、むし歯や事故などで歯を失った場合でも、多様な治療法を提供しています。その中でも人気が高まりつつあるのがインプラントとオーバーデンチャーです。これらは効率的かつ美しく、長期間にわたって機能を維持できる選択肢として注目されています。今回は、インプラントとオーバーデンチャーの特徴、それぞれのメリットとデメリット、治療にかかる期間や費用について詳しくご紹介します。

 

目次

 

  1. インプラントとは?
  2. オーバーデンチャーとは?
  3. インプラントのメリットとデメリット
  4. オーバーデンチャーのメリットとデメリット
  5. インプラントとオーバーデンチャーの選択基準
  6. まとめ

 

1. インプラントとは?

 

インプラントとは、歯を失った部位に人工歯根を埋め込む治療法です。通常、チタン製のスクリューが顎の骨に直接埋め込まれ、その上にクラウンと呼ばれる人工の歯を取り付けます。この治療法は、天然の歯とほぼ同様の機能性と見た目を提供するため、歯を失った際の選択肢として多くの方に利用されています。

 

治療は通常3段階に分かれます。最初にインプラントの埋入手術を行い、その後骨とインプラントが結合するまで数ヶ月間の治癒期間を待ちます。最後に人工歯を取り付け、完了となります。初診から完了までの期間は約3〜6ヶ月であり、費用は1本あたり30万〜50万円が目安です。ただし、地域やクリニックによって異なることがありますので、事前の見積もりが重要です。

 

2. オーバーデンチャーとは?

 

オーバーデンチャーは、残存歯やインプラントを支えとして装着する総義歯または部分義歯の一種です。この治療法では、通常の入れ歯のように歯茎の上に置くだけではなく、インプラントや残存歯に固定されるため、より安定感を持って噛むことができます。

 

オーバーデンチャーは、インプラントを数ヵ所に埋入し、それに義歯を固定することで通常の義歯に比べて咀嚼力や安定性が向上します。費用や治療時間は義歯の種類や埋入するインプラントの数によって変わりますが、通常100万〜200万円が目安となります。治療期間はインプラントと同様に3〜6ヶ月です。

 

3. インプラントのメリットとデメリット

 

インプラントの最大のメリットは、見た目と機能が非常に自然であることです。顎の骨に直接埋め込まれるため、隣接する歯に負担をかけることなく、しっかりとかむ力を持つことができます。また、発音や食事の際の不便さもほとんど感じられません。メンテナンスもしっかり行えば、長期間にわたって使用できます。

 

一方で、インプラントにはデメリットもあります。手術が必要であり、術後の管理が不十分だと炎症を引き起こすリスクがあります。また、骨の状態や病歴によっては適用できない場合もあります。費用も高額なため、経済的な負担が大きいのが現実です。また、インプラントが失敗する可能性は低いものの、完全成功ではない状況もあり得るため、事前の相談や準備が重要です。

 

4. オーバーデンチャーのメリットとデメリット

 

オーバーデンチャーは、通常の義歯に比べて安定性が高い点が大きなメリットです。飲食時の快適さが増し、外れる心配も少なくなります。また、インプラントの数を少なくしても最大限の機能を発揮できるため、インプラント単体の施術と比べるとコストパフォーマンスが高いことが魅力です。

 

デメリットとしては、インプラントとの付随手術を必要とするため、通常の入れ歯よりも製作期間が長くなることが挙げられます。また、装置が取り外し可能なため、日常のメンテナンスが必要であり、適切に管理しないとマウスピースの変形や炎症を引き起こす可能性があります。経済的にはコストは抑えられる一方で、日々の扱い方に注意が必要です。

 

5. インプラントとオーバーデンチャーの選択基準

 

インプラントとオーバーデンチャーのどちらを選ぶべきかは、患者さんの生活スタイルや経済状況、健康状態などに大きく依存します。口腔内の状態や医師の診断も関係するため、事前にしっかりとカウンセリングを受けることが大切です。美容的な観点を重視する場合は、自然な見た目を追求できるインプラントが優れています。しかし、予算や維持管理の観点から考えると、オーバーデンチャーも適した選択肢となり得ます。

 

いずれの場合でも、治療の成否はアフターケアに大きく依存します。定期的なチェックアップを欠かさず、日頃の口腔ケアも念入りに行いましょう。

 

6. まとめ

 

インプラントとオーバーデンチャーは、それぞれに異なる特性と利点を持った治療法です。失った歯を取り戻し、美しい笑顔を再び手に入れるために、選択肢として考えてみる価値があります。それぞれの方法についての正しい理解と自己の生活に合わせた選択が重要です。歯科医師と十分に相談し、自分に合った治療法を選んで健康で美しい口元を目指しましょう。